系図

 

 

 

 

登場人物コメンタリー

▼源頼政

 本作の主人公。伝説にある英雄のように生きたいと願いながらも、すでに時代がそれを許さないことを知り、現実と理想の狭間で不器用に生き続けた男。

 ぬえの過去話を書くにあたって、彼の生涯を抜きにすることはできないという思いから、本作はひたすらに頼政の人生について調べ描く一冊でもありました。

 資料に当たる限り、実在の源頼政は宮中にあってもっと公家的な性格の強い人物だったろうと思いますが、当時としても有数の勢力であった摂津の渡辺党を率い、自ら宮中の守護に当たったという記録も残されており、軍事組織の長であったこともまた事実のようです。

 鵺退治に関しては平家物語で2回あったことが記されておりますが、これは他の資料には見られぬ創作であることが知られています。……が、当時の歴史一級資料とされる九条兼実の日記『玉葉』に、頼政の郎党である渡辺競滝口が霊狐を射止めたという記録も残されており、摂津源氏が京都の怪異を払う退魔の一団、辟邪の武としての性格を備えていたことは確かなようです。

 また、各地の騒乱で敗れ、父を失った源氏の子供たちを引き取り養子としていたことも確かで、本作ではそれらの事実から平家全盛の世の中で源氏の生き残りを率いる主として苦悩というの人物造形がされていきました。

 実は弓の腕前に関しては創作を含めてあまり詳しい記述がないものの、優れた腕前であると認められていたようです。本作では後述の為朝との対比で速射と狙いの正確さに長ける描写となりました。

 ぬえとの関係性を描くにあたり、妻や恋人との関係は意図的にオミットしてしまいましたが、歌の名手でも知られる通り、なかなかのプレイボーイでもあった模様。多くの恋歌を多くの恋人とやりとりしております。

 初登場時に既に30代、すぐに50代を過ぎてしまうということもあり、せめて口調だけでも若々しさを保つ意味で一人称を俺としましたが、いい意味で苦悩する武人っぽさが出て良かったのではないかと自画自賛。

 

 

▼封獣ぬえ

 本作のもう一人の主人公。一途で不器用な正体不明の妖怪。

 この物語では名字は無く、ただのぬえとだけ呼ぶのが正しいかと思います。恐らく作中の出自からすると別の名前があったはずですが、彼女は生涯「ぬえ」であるのでしょう。

 幻想郷の妖怪の中でも正体があの少女の姿であると明言されている珍しい妖怪で、そこから正体は少女の姿、元は人間だったのでは? と発想が膨らんでいきました。

 鵺が京都に現れた時代は、大江山の鬼が討伐されてから百年以上が過ぎ、九尾の狐もまた討ち滅ぼされた頃で、まさに人が恐怖の対象として妖怪を必要としなくなった時代であったように思われます。

 過去、人間と妖怪が当たり前のように対峙していた時代が過ぎ、人間が別の目的をもって退治されるべき妖怪を求めた時代。結果、ぬえは平家物語にある2度の鵺退治によって生まれた、「人が作り出した正体不明の妖怪」となりました。

 プロットを作った時に最初に脳裏に浮かんだのは、久々に再開した頼政への第一声「頼政、老けたねえ」のセリフと、最後の宇治川の決戦での「騙されやがって、お前はここで終わりだがな!」のシーンでした。

 そこに辿り着くためのひたすらに書き続けた結果、彼女には辛い目にばかり合わせてしまったように思いますが、だからこそ幻想郷においてたくさんの幸せな日々を送っていて欲しいと願うところでもあります。

 この作品で描写したぬえの姿は、私のほかの作品においても大きく影響を及ぼし、弓の扱いに長け、また槍を用いた戦闘や歌にも通じた、実に人間臭い一面をもつ妖怪となりました。

 

 

▼二ッ岩マミゾウ 

 本作における3人目の主人公。佐渡に住む変幻自在の化け狸の、若き日の姿。

 佐渡の矢島には、かつて源頼政が鵺を退治した時に矢に用いた双生矢竹という希少な竹が自生していた(リンク先「日庵 怪處津々浦々」)――そのことを知った瞬間、ぬえが神霊廟で助っ人にマミゾウを呼び寄せた理由がばちっと音を立てて繋がったのを今でも鮮烈に覚えています。

 彼女については自分の中でマミゾウ年代記とも言うべき合縁奇縁の数奇な生涯があるのですが、本作においてはあくまで脇役として物語の一端を担う立場……の、はずでした。それがあれよあれよと話の中心にやってきたのは単純な私の贔屓以外にも理由があります。

 当初のプロット段階では、彼女はあくまで平家に対するカウンターパートとして摂津源氏を支援し、頼政に矢竹を渡す程度の役目しか振られていませんでした。頼政の郎党・渡辺競は別に存在しており、ぬえを救うのは人間の渡辺競の予定だったのです。

 しかし先の渡辺競の霊狐退治の逸話を知ったことで、狐を討ったということはこの渡辺競ってひょっとして狸だったのでは……? という発想が生まれ、化狸の彼女には、この当時宮中に巣食っていた九尾の狐、玉藻前との確執が追加され、さらに摂津源氏の渡辺競としてぬえを六波羅より救い出す役目が振られることとなりました。

 平家物語の木之下と競のくだりを読むに、敵対する頼政の郎党(しかも裏切った直後ですよ)の競が不自然なくらいの短期間で宗盛に信頼され、名馬や鎧を貸し与えられているので、あとから考えてみるとマミゾウ以外にこの役はできなかったんじゃないかと思えてしまうほどでした。結果、彼女の嘆きや怒りは後の「消えゆく妖怪を憂う」ことへと繋がることとなり、非常に嬉しい誤算となりました。

 余談ながら、眼鏡の発明も煙草の渡来も作中の平安末期からするとずっとあとの時代となり、彼女のトレードマークとも言うべきこの二つを描写できないのは案外しんどかったです。

 

 

▼藤原妹紅

 過去の語り部にして不老不死の藤原の娘。
 ぬえの登場が中盤以降ということもありまして、特に前半に東方キャラがまったく出てこないというのはまずいという観点と、頼政に超常の不思議の存在をほのめかす立場として、不老不死の彼女に登場を願いました。

 作中の名乗りである「藤原朝臣紅子娘」はDELI-TREさんの永啼鳥シリーズのリスペクトです。

 本編には全く関係ない裏設定ですが、この時代の妹紅は自分の遠い子孫になる藤原道長に出会い、彼に見込まれて藤原氏の行く末を見守って欲しいと頼まれたという経緯があったりします。同時期の陰陽師・安倍晴明とも親交があったという設定で、たびたび陰陽寮に言及しているのもそのあたりが由来。

 なお、平盛子が藤原氏の財産を相続した直後に「藤原氏の氏神のたたりで」命を落としている盛子の顛末にも関与しているというような部分も意識しましたが――まあこのへんは本編とはどうでもいい部分ですな。

 実際、「この世をばわが世とぞ思う望月の」なんていう歌を読んじゃう道長は、月に恨みを持つ妹紅と案外意気投合してたんじゃないかなと思ったりも。
 もはやこの時代に怪異や妖怪などいないという常識を提示した上で、それでも人間は自らの欲望のため居ないはずの化け物を生み出してしまう、という難しいテーマを表現するために尽力していただきました。

 

 

▼源義朝
 源氏再興の理想と現実の狭間で、戦い抜いて生涯を駆け抜けた男。
 己の理想のために父兄と対立し死別、河内源氏の棟梁として奔走するが、時流を見誤り、平治の乱にて信頼側に着き、清盛の軍事・政治力に圧倒されて命を落とす。

 頼朝・義経の父という存在ながら個別の活躍についてはやや知名度が薄い印象。彼については徹底して「父と子」を主軸に描写しました。反発しながらもやがて同じ道を歩み、歳を経てから嫌っていた父の真意を悟る――そんなイメージ。書き始めのシーンが彼の出番ということもあり、色々と頭を捻った記憶があります。
 頼政・清盛との対比として、行いを慎み高潔な武士たらんとし、源氏を統制された軍事勢力に整えようとするも、一歩も二歩も及ばなかったという描写をさせていただきました。

 しかし、彼と足利、大庭、千葉らの坂東武者との交流が頼朝の軍事基盤となり、平氏打倒の原動力となったことからも、決して彼の生涯は無駄ではなかったはずです。
 

 

▼源為朝

 遅く生まれ過ぎた神話の英雄。ジャパニーズ呂布。
 遥か年下ながら頼政の憧れであり、同時に決して彼のようには生きられない事を痛感することになる理想の英雄です。

 ものすごく有名という感じではないですが、物語における描写は源平合戦を通じて一番ぶっ飛んでる超人具合。義経さんはどちらかというと個の武勇よりも戦術、戦略で目立つシーンが多いんですが、彼の場合完全な個人としての武勇が突出していることから、一人で戦局を左右できる英雄として描写しました。

 無二の剛弓とともに活躍が語られ、保元の乱における活躍は物語、歴史資料の両方から語られています。なお作中の戦闘描写は保元物語を参考にしましたが、武装した相手を二人まとめて貫通させて矢で射抜いたとか、騎馬武者を鞍と馬ごと貫通させたとか、とんでもないことばっかり書いてあります。

 史実では伊豆で命を落としているんですが、後に琉球に渡りその祖となったという伝説をもつ、本物の英雄です。天下繚乱のwebリプレイで田中天氏が演じているのを契機に知ったこともあり、人物造形としてこのリプレイの描写にかなり影響を受けています。

 

 

▼源仲綱

 本作いちばんの苦労人。一番最初にプロットを切った時はもう少し頼政が遊び人で豪快磊落な英雄性を備えていたので(宮中をひっかきまわした化け物であるぬえをあっさり手元に引き取るあたりにその名残があります)、そこに苦言を呈する役目に設定しておりました。

 頼政が物語序盤から結構な歳なので、お小言役を郎党の渡辺党にはしづらかったというのもあり、実の息子の彼にその役目をお願いしました。

 結局、そのままその性格が個性になった印象。父には及ばないような描写をしてしまっていますが、史実の記録を見るに実働担当の兼綱、調整役の仲綱と兄弟でうまく役割分担をしていた印象。歌に関しても頼政と同じように評価を残しています。

 作中では最終的に父のわがままに振り回されていただけの生涯になってしまい、ちょっと申し訳ない気分であります。

 

 

▼源兼綱

 当所はほんのチョイ役程度しか出番がなく、単に養子組の年長者という立場で、生真面目な仲綱との対比を元に造形したのですが、平家物語を読み直し、宇治川の合戦での「かの八幡太郎義家のごとき」大活躍を元に摂津源氏一の武門とキャラクターを設定し直し、あちこちに出番が増えました。

 なにしろあの木曽義仲の兄にして、父祖は坂東で義朝らとも争った血筋であり、その活躍は納得のいくものであったとも思えます。頼政は養子として引き取った後も、彼に自分にはない強き源氏の面影を見ていたのではないでしょうか。

 余談ながら、頼政の息子たちはキャラ立てのためと、セリフのみで誰の発言か分かるように全員父の呼び方を変えてありまして、行家はこれに巻き込まれた格好です。

 

 

▼猪早太

 本作における鵺の呪いの体現者。文字通りの猪武者。

 鵺退治を語る上で欠かせない人物ながら、実在に関しては怪しいところが多い人物です。

 源平の物語において彼の出番は平家物語のみに見られ、しかもこの前後には登場せず、唐突に鵺退治のところにだけ現れて以後その行方も触れられないという不思議な立場です。

 平家物語の筋立てとして考えても、鵺退治という失敗の許されない場所であれば、もっと信頼の厚い渡辺党の郎党(頼政の自害を見届けた渡辺長七唱など)を連れていくというのがより自然なようにも思えます。

 猿、蛇、虎などの合成獣である鵺の補完として、鬼門にあたる「猪」を当てられた創作の人物ではないかという説もあり、鵺を退治することで物語を終わらせる、「鵺の一部」であったのではないか考えることもできるのではないでしょうか。

 そのあたりのイメージから、鵺退治に縛られた男としての性格をピックアップ。英雄とはかけ離れた勘違い男という設定になり、かの名刀「骨食」についてもえらい扱いに。頼政の「雷上動」や鵺退治の因果の説明にもなっているんですが、本当に済まない事をしたと謝らねばなりません。

 最終的にかなりアレな感じになってしまいましたが、妖怪がどうして生まれるのかと共に、英雄がどうして生まれるのかについてその身をもって語ってもらいました。書いてる側としては非常に共感を覚えるキャラでもあります。

 実のところ為朝と人物造形はほとんど変わらず(変えて読ませるほどの筆力がなかったとも言いますが)、周りの反応だけが違うという状況になってしまい、作者的にも申し訳ない部分も多々。

 

 

▼平清盛

 本作最大の黒幕にして源氏最大の敵。
 直接の登場はしていませんが、武と智と徳を備え、作中において敵無し、最強最大の軍事貴族として描写しました。早くから旧態依然とした京都体制の打破と、大陸との交流を意識し、仏門の権威を振りかざす南都北嶺の法師すら相手にものともしないという彼の思考は、当時の人間には想像できるものではないほど先進的だったという解釈をしています。

 同時代の人物において彼の理想を大まかにでも理解できていたのは義朝くらいであり、だからこそ清盛も義朝を警戒していたという設定があります。彼はその超人性ゆえに後継者を定める事ができず、結果平家は、義朝をはるかに凌ぐ源頼朝という傑物に敗れることになります。

 実在の人物としてみると、だいぶん情動が強く、大河ドラマで描かれたように理性や打算にも人情を捨てきれない立場だったようにも思われます。福原遷都や日宋貿易などは割と思いつきで始めた印象もみえ、戦場での実力も特段優れていたかというとやや疑問も残るところ。

 史料を読む限りでも非情になりきれない人情家、激情を御しきれない部分などもっと人間臭い面も見られますが、同時代の人間が考えもしなかったことに興味を持ち、実行する広い視野を備えていた一面もまた真実だったのではないかと考えています。

 

 

▼平宗盛

 「驕る平家」の体現者にして、本作における一番の風評被害者。

 平家物語ベースの人物造形をしたせいで頼政とは「木之下」をめぐる確執を設定し、相当ひどい悪役を引き受けて頂きました。平家物語では兄の重盛を引き立てるために貶められた部分が強く、実際の人物としては宮中における公家、院との折衝に大きな力を持ち、政権を確立した平家の次代となるに十分な能力をもっていたようです。

 清盛死後に頼朝が和睦をしようと送った書状に対して理解を示しながらも「父の遺言で源氏を滅ぼせと言われたのでそれだけはできない」と答えたエピソード等、大局的で合理的な判断を可能とする一面も垣間見えます。……とまあいまさらフォローしても作中の扱いはどうしようもなく、ただただ伏して謝ることしかできませんが。

 最初、一人称を「麿」にすべきか迷い、いくらなんでもやり過ぎだろうと思って名前呼びの「宗盛」としたのですが、結果的に妙に愛嬌のある傲慢さが出てきて大正解だったと思います。

 

 

▼美福門院(藤原得子)

 本作における一番の東方project要素。

 これまた直接の登場はありませんが、史実においても頼政の生き方に大きな影響を与えた人物です。同時代の女院の中では際立って政治的な逸話が多く残り、彼女の後ろ盾があったからこそ頼政は激動の時代を生き残れたのではないかとも言え、同時に頼政の政治的センスの描写の一助とさせていただきました。鳥羽院の寵愛などから彼女が名高き九尾の狐、玉藻前のモデルになったとされております。

 作中でははっきり明言してませんが、彼女こそ若き日の八雲藍です。封神演義メソッドで美福門院に憑依し、その行動に干渉していました。この当時から彼女は八雲紫の式であり、紫は彼女を通じて院政というもっとも強固で侵し難い権力に結びつき、この国の歴史に干渉していたという裏設定があります。

 なお、うちの幻想郷においては、中国の古王朝を滅ぼした伝説の白面金毛九尾と藍は明確に別人なのですが、藍はそこにあえて言及せず、誤解させることで白面金毛九尾の伝承を取り込み己の実力を引き上げているという設定があります。

 

 

▼源行家

 物語後半のエンターテイナーにして、愛すべき哀れな道化役。

 当初はまるっきり登場予定がなかったんですが、新・平家物語で読んだキャラ立てがあまりに面白かったのでご登場願いました。登場人物の性別が男性に偏りがちな中、こんなタイプのキャラは非常に動かしやすく、出てくるだけで喋りまくるので筆が進みます。結果的に以仁王と頼政の人物関係に深みも増し、いろいろ助けられました。

 憎まれっ子世にはばかるを地で行くようなイメージで、策士を気取ってあちこちに顔を出しては余計な事をし、事態をややこしくしてはトンズラという憎めない悪役のような立場で、彼に焦点を当てた話も読んでみたいなと思ったりも。

 なお、この後彼は鎌倉の頼朝、さらに義経に接近し、最終的にはその軽率さから自業自得とも言えるような最期を迎えることになります。

 

 

▼西行法師

 桜にまつわる多くの歌の他、死人の反魂や西行返しの伝説でも知られる歌人。東方project要素としてはご存知、西行妖の「歌聖」のモデルとされています。

 放浪の歌人でありながら徳大寺家を通じて宮中にも繋がりを持ち、歌壇でも高い評価を受けたという非常に面白い立場の方。かつては弓の名手で知られる北面武士で、清盛らとも顔見知りであったり、出家の理由の一つが女院(待賢門院や美福門院が相手だったと言う説も)への失恋だったとされたり、平家滅亡後には源平の争乱で焼けた東大寺再建の勧進に奥州藤原氏の元へ向かったり、その途上で頼朝に面会して弓の教えを請われたりとエピソードには事欠きません。

 今回、皇族については直接セリフを喋らせないという縛りを入れておりまして(一部例外もありますが)、人間が人間の手によって妖怪にされるというテーマ上、どうしても心情を描かないわけにはいかなかった崇徳院の内面と、大悪霊となってゆく経緯を描くために登場願いました。

 平安の末期、源平、人が妖怪になるという本作のテーマにおいて、ぞれを見続けた彼の生涯もまた、幻想郷の成立に深く関わっていると見ることができるのではないでしょうか。

 

 

▼安倍泰親

 作中の陰陽師要素の集大成。

 かの安倍晴明の子孫にして、わずか15歳で存続の危機に立たされた安倍氏嫡流の後継者となったという逸話を持ち、当代屈指の陰陽師として、頼長や兼実の記録にもたびたび名前が見られております。

 占道にすぐれ、次々に予言を的中させ、「指御子」の異名を持ち、数々の逸話を残す伝説の陰陽師……なんですが、どうも微妙に知名度が低い気が。

 有名なものでは宮中に巣くっていた玉藻前の正体を見抜き、坂東に逃げた九尾の狐を三浦介義明、上総介広常らの率いる8万の討伐軍と共に討った――というエピソードがあり(説によっては年代を無視して晴明本人だったりしますが)まして、これはかの名作うしおととらなんかでも語られております。あるいはこの作中でも同じようなことが起き、語られていない活躍があったのかも。

 

 

▼信貴山の尼公

 申し訳程度の東方要素のひとつ。ちらっとだけ名前が出ていましたが、言わずと知れた白蓮さんです。時代的には魔界での修行で若さを取り戻し、妖怪救済のために大活躍中です。おそらく命蓮寺の初期メンバーは大体揃った頃ではないでしょうか。

 歌聖を西行法師と仮定して、その娘の幽々子様が存命だった「千年前」の時期を考えると、同じ「千年前」の彼女の活動時期もこのあたりだったのではないかという発想より、触れておく必要があるかなと思ってちょっとだけ名前を出しました。

 

 

▼九条兼実
 作中の徹底した解説役。

 直接登場してませんが5回くらい名前は出てきてるかなと。この時代の超一級資料である日記「玉葉」の作者。病気とおそらくはその舌禍(玉葉には忌憚なく当時の有名人、親交のあった人々を辛辣に批評している部分が山のようにあります)によって長らく主流から外れていたものの、40年に渡って書きつづられた日記には京都にいながら全国各地の戦乱で起こる情報をほとんどタイムラグ無く受け取って記録し、かなり正確に分析していることから、これらの情報を容易に知り、その正誤を判断するための複数の情報筋を把握できた立場にいたことが分かります。

 後に頼朝が政権を固めてからは内覧・摂政・関白となっていることからもその実力が窺えます。
 ほとんどの歴史系AAで麻呂が当てられていることから、完全にそのままのイメージでいます。登場してませんけど。
 なお、佛教大学の伊佐迪子氏の論文によれば、頼政の娘の二条院讃岐が宮中を辞したあと、女房として仕えていたとされていますが……。
 

(以下追記予定…?)